白蟻の生活



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現代における人と社会の白蟻化

 この本は白蟻についての本である。しかし、著者は著名な文学者であり、そのため「白蟻の異常性格についてほとんど考慮していない」自然科学者の観察に基づいて客観的事実を述べながらも、鋭い哲学的考察が随所に散りばめられて、類書に無い深い内容を持った本になっている。
 白蟻は、セメント造りで空調の完備された巨大な蟻塚に住み、地下に縦横に張り巡らされた通路を行き来し、個体それぞれの役割は複雑な社会組織に応じて極度に分化され、雄と雌の性はあるものの社会化のためほとんど放棄され、次世代を生み育てる役割は個体から「巣」に奪われているのであり、それらの結果、一個体は自然界における位置を失い、全体としての巣が、自然界で一定の役割を担っているのである。
 私たちも同様に、快適なタワーマンションに住み、地下鉄や地下のアーケードで暮らし、高度資本主義社会に適応するため極端なスペシャリストになり、男女平等の美名の下に性差は否定され、育児は家族から保育所等になった。
 私たちは、どこに向かっているであろうか。
 
 
一気に読んでしまう面白さ

 青い鳥で有名なこの著者だが、社会性昆虫の本を書いていたとはまったく思わなかった。著者が冒頭で述べているように不正確な表現は用いられていないようである。
 この本が書かれたのは1926年だが、その当時によくこれだけの情報を集められたのかと感心してしまった。社会性生物学に興味のある人もそうでない人にも薦めたい。



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